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【連載 第6話】そこでしかみられないもの -命-
第6話:

H2O。

水を化学記号に置き換えると水素と酸素の固まりである事がわかる。

適度な消耗の恩恵を受けた、「地球上で最上の飲み物」で満たされたボクはそんな事を考えていた。

人体の実に6、7割は水で構成されている事を思い出す。

そういえば、この目前に広がる海という水分も地球の約7割を占めている。

そんな不思議な共通点に微妙に緩んだ口角を少し恥ずかしく思いながら、ボクは三脚を用意した。


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海は広かった。

本当は9割、いやもっと多くの地表が海で覆われているのではないだろうかという気にさせられるほど、目の前のその海は広く、そして、偉大だった。

特に理由無く腰掛けた岩場は、どうやら少なくとも一日の半分は“島”だった様で、海岸に着いた頃は“陸続き”だったその場所は、水位が上昇したのだろう、海岸から孤立した、海上に浮かぶ岩になっていた。

まだジャンプで取り返しが着く内に戻らないと。。。

それが正常な判断だっただろう。

しかし、後数分もすれば訪れるであろう“その瞬間”に意識が支配されていたボクにそんな判断力は残されていなかった。

ごつごつと不均等な出っ張りとヌメリある岩肌に慎重に三脚を広げると次第に空の色が変わって来たのに気がつく。

変わらず押し寄せる波とそれに乗せられてやってくる波音。

その向こうからは止めどなく鳥かアザラシの鳴き声がうめき続けている。


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生まれてこれまで、一体何時間この光を浴びたのだろうか。

遥か1億5千キロも先にあるその球体が放つ「光」は地球上に生きる全ての“源”である。

「地球と太陽の距離バランスが後少しずれていたならば、この星に生命は存在しなかっただろうー」

理科の授業で何度も聞いた科学者たちの雄弁。

確かにそうなのだろうけど、ボクは、“もし”の話を嬉しそうに語る「科学者」にいつも違和感を覚えたものだ。

しかし、事実、例えば地球上に雲が充満し、1ヶ月太陽光から遠ざけられただけで死滅する地球上の生命体の数は無限に近いだろうし、ボク自身、そんな事、まっぴらゴメンだ。

科学者の雄弁が嫌いだろうと、理科の授業が嫌いだろうと、今水平線上で揺らいでいる球体はボクら“生命”と名のつく存在にとって、かけがえの無い“源”なのである。


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そんな“源”が今、ボクたちの“母”と呼ばれる海に向かって沈んで行く(様に視えている)。

文明の力は、自らの力で「光」を生み出す事に成功した。

科学者たちは“禁断の力”によって、生命さえもコントロールしようとする時代に生きている。

人間は果たして今のままでいいのだろうか?

予想だにしなかった思考が頭を埋め尽くそうとしていた。

「自然の摂理」という言葉にはどこか宗教的なエッセンスを感じるが、地球46億年の歴史において、無数に繰り返されて来た“この瞬間”。そんなキーワードが目前にちらついている。

人間が存在する何年、何十年、いや何億年も前から繰り返されて来た地球と太陽の織りなす“儀式”。シンプルでありながら実に荘厳である。「光」とは何か、「闇」とは何なのか、そんな人間が感じなくなってしまった当たり前の疑問を心のレベルにまで訴えかけるその光景は、ボクにシャッターを切る事を許さなかった。

地球の歴史からすればほんの最近やってきた「人類」が今この星を蝕んでいるのは人間以外の全ての生き物が知っている。今ボクが手にしているこのカメラでさえ、その一因である事は目を伏せようとも変わりない事実であるからだ。


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だけど、ボクはシャッターを切った。

毎日“当たり前”の様に繰り返される毎日が、ボクらに与えられて“当然”の物なのか。

果たしてボクらは“それ”を享受するに値する存在なのだろうか。

そんな疑問を自分自身に、そして自分以外の誰かにブツケるために。

この星の呼吸を、叫びを、“生命”を伝えるために—。



“その”光が海の向こうに消えようとした時、どこかで大きな鳥の声がした。

鳥の言葉はわからないし、それが鳥だったのかも確証はない。

しかし、その声は、「自分の答えを探し続けなさい」そう言った様に聞こえた。


「光」の痕跡が「闇」に飲み込まれ、「夜」の支配が訪れる前に、ボクは再び森へと歩を進めた。


つづく。


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*Taken in RAW and Proceeded with MacBook + Photoshop CS4


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by leoism | 2009-10-05 23:07 | Field Log


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