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【連載 第5話】そこでしかみられないもの -海-
光はそこにあった。

まるで水爆の実験に遭遇してしまったかの様なそのまぶしい光は、海の遥か向こうから閃光の様に体全体を貫いた。長らく闇に近い暗がりにいた所為もあるのだろうが、その眩しさは、目を閉じたくらいでは防げそうに無いくらいに感じられた。

いつも見ている太陽。毎日当然の様に昇り、そして沈む(様に視えている)太陽。

“そこ”ではそれは全くの別物の様に見えた。

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その感動を声に出すのにいささか時間がかかった物だが、我に返った後は、とにかくはしゃぎっぱなしだった。足場の危うい岩だらけの海岸を駆け回り、構図などこれっぽっちも意識にとめないままにとにかくシャッターを押した。いや、シャッターを“押している”という感覚は全く無かっただろう。その時カメラという“道具”は間違いなく自分の体の一部となっていた。シャッターをキル事は、右目をウィンクするよりももっと自然で、もっと直感的な作業だった様に思う— とすると、ボクは無数のウィンクをばらまきながら岩場を翔る変な青年という事になるのだけれど—。

海岸には10〜20ほどの人影があった。

彼らの多くは写真目的でここにいる様子ではなかった。もちろん何人かはコンパクトカメラを連れていたが、一眼レフカメラに三脚という“それらしい”装備を持った者は見なかった。





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それらの人について意外性を認識したのはさらに10分以上経過した後だった。ここに来る途中に出会った「帰る人たち」が陽の暮れ始めた午後に海岸へ向かうボクを見てへんな表情を見せていたのを“こんな時間から海へ向かうなんて”という意味だと思っていたから、そこに人がいるなんて、あまり想像していなかった。だから本当なら10人を超す人間を見て「あれ?」と真っ先に思うべきなのだろうが、この時はそこに行き着くまで時間がかかった。


“こういう”場所では“ボクの知る”場所と時間の流れ方がずれているのかもしれない。


何となくそれらしい理由を見つけて、「そんな事は、別にどっちだっていいじゃない」と違和感とそれに気がつくのに時間がかかった理由の探求に即刻ピリオドを打った。そんな事(少なくとも“今”は)問題じゃない。

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最初に装着していたレンズは「SIGMA 30mm F1.4」だ。このレンズより先に買った超広角レンズ(SIGMA 10-20mm)は、“こういう”大自然をスナップする目的で買ったレンズだったが、最近は30mmという画角での風景撮影が好きになっていた。77mm という大口径の10-20mm用には高くついてしまうという理由で(ケチって?)購入に至っていなかったPLフィルターもこの30mm F1.4用には用意していた(C-PL)。フィルターを効率よく使う事にまだ自信の無いボクだけれど、“意識を取り戻してから”は、出来るだけその効果に注意して、くるくるとフィルターをまわしつつ風景を切り取った。

もちろん、10-20mmはバッグに入っている。使わない理由がない。しばらくしてからこの超広角を写し取るレンズに付け替えた。

うん、やっぱり広角も面白い。

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しばらく超広角での撮影を楽しんだ後、再び30mm F1.4に付け替え、後半時間ほどでその姿を隠すであろう太陽を撮影するためのスポットを探した。あまり遠くまで歩くと森への入り口から遠くなり、それは、帰り道をより困難な状況に持って行く事になる。あまり遠くまでは行かず、それでもここだ、と思えるスポットを探すのは時間がかかるかとも思っていたが、意外とあっさり見つかった。

バッグを置き、休憩と共に、持ってきた夕食を食べる段取りをした。

ボクは大抵フィールド写真には「LOWEPRO AW200」を持ち出す事にしている。必要最低限のカメラ装備が十分に収納出来、尚かつその他の必要アイテムが余す事無く収納出来る優れたバッグである。また、大きすぎないため、大きなバッグと違って、欲張って色々詰めてしまって、総重量が大きくなってしまう心配も無い。つまり、このバッグに入るだけ入れたぐらいが“ちょうどいい”装備になるのだ。

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事前に用意したサンドウィッチはその“ちょうどいい”に適合するサイズだった。程よい咀嚼を促す厚めのパンと、かむ事に喜びを感じさせてくれるハムとチーズの調和。大きすぎず、小さすぎず、空腹感を取り去るに十分で、満腹に支配される事の無い量。ベストチョイスだったと我ながらに満足した。

5kmという道のりは確実に体力を削っていたのは座った時に感じたが、そこらへんのメタボ系な人種とは違う。この時のために体力作りや筋力トレーニングは欠かしていない。雪山登山や大峡谷を制覇しようというのではないけれど、たかだか5kmのアップダウンで息が切れている様では困る。少なくとも“今”はまだ、そんな体になってもらっては、困る。

適度に鍛えた体、適度にそれを酷使するトレイル、適度にかいた汗、適度に冷たい風、、、この日は何故か、適度に溢れていた様な気がした。

そして適度に満たされたお腹は—いや、喉や口だろうか—冷たい水を求めていた。

これまた適度に冷えた水で口元から喉の奥の方まで十分に潤した。

ボクが(適度に体を消耗させる)トレイルが好きな理由の一つに、この水がある。サウナに長時間入った後の冷えたビールや、フランス料理と合わせるワインなんかが最上の飲み物と謳う人たちがいるけれど、莫迦をいっちゃいけない。と、ボクは毎回思うのだ。こんなにウマい飲み物は、“ここ”で飲む水以上にはありえない。「H、2、O」とビールやワインを有り難がる連中の耳元で念仏の様に唱えてやりたい、とさえ思うほどだが、でも同時に、このウマさをわざわざ教えてやるのももったいないな、とも思ったりする所、ボクもひねくれ者だと認めざるを得ない。

ともかく、「地球上で最上の飲み物」によって満たされたボクは、食休みも取るか取らないかの内に三脚を取り出し、来る“その時”に備えた。



つづく。。。


*写真はクリックすると大きいサイズがポップアップします。


*Taken in RAW and Proceeded with MacBook + Photoshop CS4


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by leoism | 2009-09-28 21:25 | Field Log


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