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【連載 第3話】そこでしかみられないもの -森-
そこでしかみられないもの—。

果たしてそんなもの、存在するのだろうか。

森に入ろうとした時そんなことを思った。

普遍的な物など存在しない—。

そんな事はわかりきった事実であり、その事実が何度ボクらを苦しめたことだろうか。そんなことはわかっている。しかし、「そこでしかみられないもの」を、“ボクが”、“そういう価値のあるもの”だと認識する事が、果たして出来るのか、それが疑問だった。

毎日繰り返し昇っては沈む太陽。雨や曇りの日には見えないし、季節によって、昇る場所も沈む場所も違う。ボクらの目にふれている時間だって長くなったり短くなったり、日々変化している。

しかしー。

それらの多くは、“毎日同じ様にしかみえない”のである。

だから、ボクはここに来たのだ。

なのに、ここに来て、森の入り口を前にこういう思考が頭の後ろの方をくるくると回り始めるのは、森を目にして臆したからではないと信じたい。まるで大きな壁の様に目前に広がる森の姿をみて、“ビビって”しまったから、“そこに入らない理由”を作り出そうとしたのだったら、恥ずかしいでは済まないから。

どちらにせよ、ボクはそこに入らないわけにはいかなかった。“そのために”ここまでやってきたのだから。仮にそこで見る太陽がいつも見る太陽と同じだった(少なくともそう見えた)としても、見る事もせずに、勝手な理由をつけて、引き返せるわけなんて、全くないからだ。

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海岸へと続くその道の入り口はわかりやすかった。




キャンプサイトにつながる湖から続く穏やかな川の上を渡す木造の橋を渡ればそこはもう森の中だ(2枚目の写真参照)。橋を渡りながら、微かに響く川の声に耳を澄ます。これを渡りきったらもう戻れないんだろうな、という予感とともに、橋を渡りきった。

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森の中はもう既に暗くなり始めていた。

生い茂る緑の中に一筋、人が通るための道がずっと先まで続いている。

これをまっすぐ一時間と少し歩き続ければそこに着ける事は何度も調べてわかっている。なのに、前後左右を隙間無く覆い尽くす緑を意識してしまうと、いつかこの道が終わってしまって、振り返ったらそれまで歩いて来たはずの道も無くなってしまうんじゃないかといういらぬ妄想に支配されそうになる。

それほどこの「森」は大きく、深く、そしてそれ以上の“何か”がありそうに感じさせるのだった。

しかし、意識しさえしなければ、それはただの樹の集合体に過ぎない。例えそれらの影に口を唾液でいっぱいにした“何か”が潜んでいたとしても、気にしさえしなければ、道はまっすぐ伸びていて、足下も十分固く、ボクら人間には、「そこをひたすら歩く」という選択肢が用意されている。


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今日ボクが抱えるカメラ機材は、デジタル一眼レフカメラ一台とレンズ4本。そしてGorillapd。それに加えて水と食料、ファーストエイド、サバイバルナイフ、LEDの懐中電灯といった物たちがボクの肩に乗っている。

何かの間違えで地球の重力が変わらない限り、その重量は森の入り口から出口まで変わらない—いや、水を飲んだら少しは肩の荷がお腹に移るけれど、微々たる変化だ—。

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ボクは出来るだけ森の様子を楽しもうと木々に目をやり、時に立ち止まって、シャッターを切った。倒れた樹の中身が空洞になっていて、動物の住処の様に見える物や、生えたキノコが階段の様に見える高い木がボクのココロを軽くしてくれた(勿論肩の荷物の重さは変わらない)。

途中、10人ほど人と出会った。

皆、海の方からこちらに向かってやってくる。すれ違いぎわに「Hi」と挨拶を交わすが、先方はどうも、「今から海の方に行くの?」という顔をしている様に見えてしまう。

これは被害妄想かもしれないけれど、普段別のトレイルで交わす挨拶と「間」が違う様に感じるのだ。

やはりこんな暗くなり始めの時刻から、海を目指すなんて、ちょっと変なのだろうか。

そう思ってしまいそうなのを必死で拒絶しながら、黙々と海の方へ歩を進めた。

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1時間が経った。

思ったより長く感じる一時間だったが、疲労感はほとんどない。

むしろ、行った先にあるものが楽しみで、はやる気持ちが体を軽く感じさせる(何度も繰り返すが、荷物の重量に変化はない)。脳内にアドレナリンでも巡っているのだろうか。ランナーズハイならぬ、ハイカーズハイか。いや、これくらいの歩行でハイになっては困る。

隠そうとしていた不安とは裏腹に気分が高揚していることを、単なる防衛規制本能なのか、カラ元気なのか判断しようとしている間に、森の向こう側が明るくなってきた。

「お、もうすぐか」

そう声に出しそうになって、直後、ちょっとがっかりした。

森のシルエットが深く黒いのに対し、その切れ目にある光の色が“白”かったからだ。

出発前に確認した情報によると、今日海に霧は出ないはずだ。しかし、そもそも霧が多い土地だ。海一面霧に覆われていても不思議ではないし、もしそうだったとして、誰に文句を言っても、霧はどいてやくれない。

美しい海の光景に高まり続けていた期待という名の風船が、音も無く急速にしぼんで行く様な感覚だった。

そんな。

今度は確実に声にはならない声をのどと上あごの間でボソッとつぶやいた。

海はもうすぐ。ボクは、とりあえず黙って森の“出口”を目指した。


*写真はクリックすると大きいサイズがポップアップします。


*Taken in 6 mega with fine sharpness +4, custom color=Miyabi. (Retouched and Resized with MacBook + Photoshop CS4)


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by leoism | 2009-09-21 18:09 | Field Log


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